す56

自由帳

スワンボート

スワンボートにはじめて乗ったのだが、すごいよかった。

遠くからボートが見えた時は、歩いてるだけでこんな寒いのになんで乗るんだろうと思っていたが、いざ乗り場が目の前にくると、じわじわと乗りたくなってくるものですね。

 

あれは、池の中に放たれて、全くルートの無い中で舵を切る。いってらっしゃいと言われて出発して、出発した場所に戻ってくることだけはわかっている。

 

制限時間まで、気ままに進む。

出発直後は、なんだこれどうすればいいの状態だった。お父さんが自然と舵を取った。

 

鴨とカモメがいた。カモメじゃないかもしれない。白い鳥の名前がわからない。カモメというあだ名ということで。

f:id:Shinkansen:20220114041019j:plain

鳥たちはどこに向かっているのか泳ぎ続け、カモメは、たまに、餌を目掛けて飛ぶ。

角度によって、水がキラキラ光った。

ボートに乗り、はじめてカモメの集団が飛んだのを見ると「うわああああ!」と二人で感嘆していた。いきなり、近くで、たくさん、カモメが飛んだから。

その後から、私は、カモメが飛ぶのを心待ちにした。それを見るためにボートを漕いで、スマホを手に持った。

 

あそこに行こうと言うと、一旦漕ぐの止めてと言われた。風と、それによって変化する水面の影響で、漕がなくても船は動いていた。それによって、漕ぐ力も変わった。

 

動き、揺れ続ける船上で、写真を撮るのは難しいものですね。形に残すのは難しい。

写真の撮り方を知らんな、シャッターチャンスがいつくるのかも、どれがそうなのかもわかんない、と思った。というか、どんな構図で撮りたいのかすら考えていなかった。手が寒い、スマホを池に落とさないようにしないと、と考えていた。

そうは言いつつ、カメラは構えて待っていた。だけどなかなか飛ばないので、適当なタイミングでシャッターを押した。

f:id:Shinkansen:20220114040951j:plain

f:id:Shinkansen:20220114041009j:plain

撮った写真をこうして見てみると、スワンボートのこの骨格って、眼鏡のフレームみたい。

白いフレーム(フロントピラー?)が汚れている。なんで白鳥なんだろう。

f:id:Shinkansen:20220114041017j:plain

白い枠が視界の周りにある感じ

要らないと判断したものはフレームから外し、フレーム自体も映らないように、カメラを動かす。無意識下で、そうやって写真を撮り、形になる。

形になる・・・形成される、残る、それが答えとなる。

乗っている途中、ばあちゃんから何してるのとラインが来たので、写真を送った。

 

景色とは、常に、動きの中で、フレーム越しにあるものだと気づく。

色眼鏡というと、レンズのことを指しているのかと思っていたが、フレームもあるなと思った。

レンズの色や度数は簡単に変えられないけど、首を動かすだけでフレームはフレームとして機能する。

全く「異なるもの」の集まりから「同じ」を作ることは、同時に、新しく「異なるもの」を生み出しているのだ。

言い換えれば、排除行為だ。排除と同時に、景色は成り立っているのだ。そして、フレームの外には、また別の景色があるのだろう。

一つの現実の中に、複数の景色があるのだ。

「排除」とは、生き物にとってすごく前提的なもので、永遠のテーマかもしれないと思った。